まず、アンテナには2種類あります。こんな始め方をする文章はよく見かけますが、その分け方については、垂直・水平とか、接地型・非接地型とか、様々あります。でも、私がアンテナを考えるときには「電流給電か、電圧給電か」を考えます(これが正解とは言いませんが)。アンテナの挙動を考えるときに、いちばん好都合だからです。 電流給電のアンテナは、皆さんおなじみ1/2λダイポールアンテナが基本になっていきます。皆さんが見かけるアンテナの7割は、ダイポールが基本になっていると考えてもらって良いと思います。このダイポールアンテナをL字にして、垂直のエレメントの方を電気的に何段も積み重ねたものがグラウンドプレーンアンテナになり、水平DPの前後にエレメントをつけたのが八木アンテナになり、エレメントの長さを二倍にして先端同士を短絡させたのがループアンテナになります。ホイップアンテナの一部もこの形式ですが、ここは後述します。4アマの試験にも登場し、自作するのも容易なので、身近ではないでしょうか。
電圧給電のアンテナは、ツェップアンテナ(正確にはツェップライクアンテナと言うものです)が代表です。マッチング回路から1/2λのワイヤーが伸びているタイプのもので、設置が簡単なことから移動運用で使うことも多くあります。私も参戦した、2011年岐阜県JARLハムフェスティバルでJA2RLが公開運用をしたときにも使われていました。ツェップの他には、ホイップアンテナくらいでしか見かけません。一般に「ノンラジアルアンテナ」と書いてあるものは、ほとんどこのタイプです。
さて、この2つの違いがわかったところで、本題へ。今、「ホイップアンテナ」という名前を電流給電と電圧給電の二つのところへ書きました。二つの種類の違いがわかってないと、かなり悩みます。私もかなり悩みました。というわけで、私なりに説明してみます。
皆さんはアンテナメーカーのカタログをお持ちでしょうか。たいていのハムショップにおいてありますが、手元にありましたら是非見てみてください。するといちばん最初に来るのが、HFからセンチ波までのモービルホイップのラインナップ、それもずらーっと並んでいます。固定のアンテナはそれほど交換しないからというのもありますが、昨今の住宅事情もあるのでしょう。こういう小さいアンテナが人気のようです。
こういった小型アンテナを家で使われる方も多いと思います。私はアンテナを置くスペースがほとんどないため、RH999とRH770というハンディホイップを窓先に出して使っています(機材紹介ページ参照)。(2024年5月註:執筆時点の環境(2013年以前)のことです。また、現在の機材紹介ページにはアンテナの情報はありません)
最近のハンディホイップ、小さいものは親指サイズだそうです。こんな小さいアンテナでどれだけ飛ぶかは疑問ですがそれはさておき、モービルホイップでも20~30cmのものがあります。でも、こういう小さいアンテナこそ、固定で使うときは要注意です。小さいからといって浮かれていてはいけません。
ホイップアンテナは2種類あると書きました。しつこいようですが電流給電と電圧給電ですね。ホイップアンテナにおいての話ですが、それはアースがいるタイプか、いらないタイプかなのです。
そもそもホイップアンテナとは、ホイップ、すなわち鞭のようなアンテナということです。給電点がいちばん下の端っこにあって、そこから一本のエレメントが伸びているタイプのものをまとめていいます。この形をしたアンテナは、二種類考えられるのです。それが垂直接地アンテナと、ツェップ型アンテナのタイプで、この違いこそがアースの要不要を分けているのです。
アンテナメーカーは、基本的にモービルホイップやハンディホイップを固定で使うことを考えていません(正しく言うと、前提としていない)。モービルホイップは自動車のボディからアースがとれるし、ハンディホイップはリグ本体をアースとします。でも、基台に固定して同軸で部屋へ引っ張る場合、それはメーカーの前提条件を無視しているわけです。アースがいるタイプのアンテナだと、別にアースをつながなければいけません。もちろん、自動車に乗せたり、ハンディにつなぐ分には問題ありません(自動車の場合は工夫がいることもありますが)。
じゃあどうやってアースの要・不要を見分けるのか。それはアンテナの形式によります。カタログの「形式」のところをよく見ると、1/2λ、1/4λなど、いろいろな形式があることがわかります。周波数によっても変わりますので、よく見てみてください。1/4λというのは垂直接地アンテナ型。これは同軸の網線につながる方のエレメントを取り去ってしまっているもので、そのエレメントの代わりにアースが必要になります。1/2λのものはツェップ型で、それ単体でアンテナとして成り立っているもの。アースはいりません。他にも、「5/8λ」とか、「3/4λ」とかいうのもありますが、「ノンラジアル」と書いてなければ、基本的にアースがいると思っておいた方が無難です。
ここまで読んでいただいたお礼に、ちょっとしたおまけ情報を書いておきます。市販品の場合ですが、ここにx(m)の長さのホイップアンテナがあったとします。ある周波数においてこのアンテナを使用するとき、その周波数の波長をλとすると、ノンラジアルで使えるのは、
x>0.33λ(m)
の時だと思っていて良いと思います。なぜなら、アンテナというのは短縮すればするほど性能が落ちます。波長の0.33倍より短くするならば、いっそ0.25倍(=1/4λ)にして、アースを取って使う電流給電タイプにした方が性能が良くなるからです(先にも書きましたが、アースがとれない状況はメーカーの前提条件外です)。ちなみに、6m用のノンラジアルのホイップの市販品は、私の知る限り全長2m以上のものしかありません。