間違っちゃいけないアンテナの話2

 まさかの第2弾です。今回は、「ダイポールアンテナはなぜ半波長なのか?」というお話。


 このあいだTwitterで、とある高校の無線部の方がこんなことを言っていました。 「21MHzの電波、7MHzのアンテナで出してた!普通に交信できてたから気づかなかった!」

 ある程度慣れている人なら「そりゃあ、奇数倍だから、乗るでしょうよ」と思うのでしょうが、そこはまだ経験も少ないだろう高校生、「不思議現象」に見えたようです。

 しかし確かに、「ダイポール(型)アンテナは、なぜ半波長か」「なぜ基本周波数の奇数倍波長でも共振するのか」って、わざわざ教えてもらわないよなあと気づきまして、久しぶりのアンテナの話、第二弾を書こうと思い立ちました。

 まず、アンテナはどうやって電波を飛ばしているのか、というところから始めましょうか。水平ダイポールを例に考えてみましょう。

 送信機から、高周波の交流電気(これが信号です)がアンテナに入力されますと、金属エレメントの自由電子が、信号にしたがって前後に振動します。電子の振動こそが、交流信号の正体です。

 電子の振動ということは、電気を持った粒が「動き続ける」ということですから、エレメントの電流に対して垂直に、円で囲うようにして、磁界ができます。そして、電子が振動を続ければ、磁界も変化し続けます。磁界が変化すれば、その磁力線を取り囲むように電界ができ、この電界も変化し続けます。電界の変化がさらに磁界を、磁界の変化が電界を… というように、連鎖的に磁界と電界が作られ続けます。これが、電磁波です。ちなみに受信の時は、この逆をたどるわけです。

 これが、四アマ試験に出てきた、「水平アンテナは水平偏波、電界が水平」「電界と磁界は垂直」ということです。

 さて、本題は、アンテナに入る信号の周波数と、アンテナの長さの関係です。

 実は、アンテナの動作は、ギターやピアノの弦に似ています。

 弦というのは、両端が固定され、真ん中を弾くと、ある決まった音程の音が出ます。その音程は、弦の長さを変えることで変えることができます。この場合、真ん中というのは「最も振幅が大きい点」ということになります。

 端が固定されて振幅ゼロ、真ん中がいちばん大きく揺れる。そんな弦の揺れ方はどんな風でしょう。

standingwave

 

 簡単に思いつくのは、図の左(橙)のような山型の揺れ方でしょう。しかし、実はこの問題の答えは無数に存在します。図の右(緑)にそのうちのいくつかを書きました。

 つまり、ある長さの弦から出る音の条件として、「これらの揺れ方をするやつ」ということになります。

 実はこれらの弦の揺れ方によって、出る音の高さ、つまり周波数が異なります。詳しいところは、「定常波(定在波)」というものを勉強する必要がありますが、結果だけ言うと以下の通りになります。

f[Hz]=0.5 × v[m/s] / L[m]

f...周波数

v...弦を波が伝わる速さ

L...揺れている弦の、山ひとつ分の長さ

 では、ダイポールアンテナに戻ります。

 アンテナの場合は「縦波」と言って、揺れるもの、つまり電子の振動の方向は「前後」(正確に言うと、波の進行方向といっしょ)なので、ギターの弦とは少し違います。しかし、エレメントの端の電子は、まさか外に飛び出すわけに行かないので振動できない(振幅ゼロ)、真ん中は給電点なので振幅最大、ということを考えると、実はギターと対して変わらないことになります。

 するとやはり、ある長さのアンテナから電波を出す時の、「アンテナの揺れ方」は、さっきの図のようになります。

 先ほどの図のを見ていただくと、なるほど、ダイポールアンテナは山一つ分の長さ、つまり波長の半分の長さになる、というのが、一目瞭然と思います。

 電気信号の場合は、伝わる速度が比較的はっきり分かっているので、波長から周波数を計算するのは容易です。

 では、図のの揺れ方について、波長と周波数を考えてみてください。最初の「奇数倍問題」が理解できるはずです。


2016/09/?? 初稿

2017/09/04 赤字部分を修正。「左」「右」の間違いにずっと気がつかなかった。お恥ずかしい限りです。

2024/05/05 Webページリニューアルに当たり、一部改稿。