陸上無線通信委員会報告(案)(「小電力の無線システムの高度化に必要な技術的条件」のうち「433MHz帯タイヤ空気圧モニタ及びリモートキーレスエントリに係る技術的条件(改訂版)」)について、以下の通り意見します。
(要旨)
- アマチュア無線の位置づけの記載として、近年総務省からも提言されている、ワイヤレス人材育成のための活用の文脈を盛り込むことを要望する
- アマチュア局との共用検討について、記載された試算と考察よりも、実際にはより大きな影響が発生しうると考えるため、より実態に即した試算および共用検討が為されることを希望する
- アマチュア局とTPMS/RKEの相互の干渉影響を最小化するよう、具体的な制度設計が為されることを期待する
- 1次利用者であるアマチュア局の権益保護のため、1次利用・2次利用の原則に基づく確実な電波利用制度の運用、今後の議論における継続的な配慮を要望する
(意見)
●【2.4.2 430MHz 帯のアマチュア業務の使用状況】についての意見
『430MHz 帯は、FM による近距離の直接通信やレピータを介した音声通話用として、初心者を含めた幅広い層が利用しており、レピータについては、広域的な活動や非常時の社会貢献活動などにも利用され、災害時の非常通信などでも重要な役割を果たしている。』
との記載について、令和4年8月に総務省から公表された「ワイヤレス人材育成のためのアマチュア無線の活用に関する提言 」の内容も踏まえ、技術人材育成への活用を国として期待している旨についてもしっかりと言及されたい。アマチュア無線を通した人材育成の文脈は、令和7年6月に内閣府が公表した「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2025年改訂版」にて提言されている「産業人材育成プラン」にも裨益するものである。
●【3.2 アマチュア局との共用検討 】における試算と考察について:
干渉による影響の試算と考察が、楽観的である印象を受ける。より実態に即した試算と共用検討が為されることを望む。
まず、表 3.2.2-4(TPMS/RKE の同時使用車数の推定) で示されている、共用検討試算の前提となるTPMS/RKE同時使用車数密度の設定が適切でない。例えば、ここで示されている計算では、東京都の全体面積に均等に自動車が分布する計算となっているが、例えば東京都の面積の約4割は森林であり、森林に自動車が分布するとは考えられないから、実際の同時使用車数密度は、少なくとも資料記載値の2倍近くになるであろう。
(参考:東京都産業労働局 https://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.lg.jp/nourin/tokyo/history/shinrin)
もちろん23区などの人口密集地帯を考慮すれば、実態の同時使用者数密度はさらに高くなることが考えられる。RKE/TPMS利用者も、アマチュア局も、人口密集地帯に多いのであるから、人口密集地帯での干渉影響を事前に検討し、その結果を制度設計検討に取り込むべきではないか。
特に、RKEは駐車時(特に停車後、発進前)に使用されるシステムであるが、例えば大規模なショッピングセンターの駐車場を想像すれば、実際に起き得る干渉影響が試算値よりも遥かに大きくなることは明らかである。例えば、イオンレイクタウン(埼玉県越谷市)の敷地面積は約34万平方メートル、駐車台数は約9400台であり、RKE 装着率の 50.99% を掛ければ、当該ショッピングセンター付近でのRKEの同時使用車数密度は1方キロメートルあたり約14,000台(資料記載値の約17倍)となる。
(参考:イオンモール株式会社 https://www.aeonmall.com/news/index/10292/
TPMSについても、【3.2.4 共用検討結果に基づくアマチュア局との共存可能性についての考察】において
『前提となる与干渉局数は最も自動車登録台数の多い東京都を想定したものであり、渋滞発生時などの特殊な状況を除けば、ほとんどの地域で干渉影響はより軽減されることが想定される』
と記載されているが、都市圏においては幹線道路等における渋滞は日常的なものであり、渋滞を特殊な状況であるとして例外的に扱うことを以て『実運用上は共存が可能』と結論づけることは過度に楽観的で、適当な記述ではないと考える。
●【3.2.5 アマチュア局から TPMS/RKE への影響 】および【3.4 その他 】に記載された、共用のための留意事項について
資料に記載されている通り、433MHz帯をRKE/TPMSとアマチュア局とで共用するにあたっては、アマチュア局からRKE/TPMS、RKE/TPMSからアマチュア局の、双方に干渉影響があることから、慎重な配慮が求められることに賛同する。特に、お互いの干渉を最小化するため、【3.4.2 国際的な技術基準との整合性の更なる確保】に記載されたような、433MHz 帯 TPMS/RKE の周波数の限定(原則として433.795~434.045MHz へ制限)や、TPMS/RKE の筐体要件の見直しを、具体的に制度設計に取り込むことは極めて有用な対策であると考えられるから、ぜひ検討されたい。
加えて、RKE/TPMSとアマチュア局の間では、実運用上の影響の多寡はあれども実際に相互に干渉影響を起こし合うものであることを認識した上で、実際に干渉影響があった場合にも、1次利用・2次利用の原則に基づいてアマチュア局側の権益が脅かされることがないように、電波利用制度が確実に運用されることを強く要望する。また、RKE/TPMSの普及に伴って今後のさらなる利用拡大等の議論がある場合にも、引き続きアマチュア局側に十分な権益保護の配慮がなされることを望む。
履歴
令和2年2月26日意見提出、ウェブサイト掲載